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 (昭和52年)

「本格的なMCアンプ搭載(S/N70dB以上)」
「全段フルコンプリメンタリー DCパワーアンプ採用」

ステレオ・プリメイン・アンプ
PMA-700MKIII
\149,000

■1977年8月

移り変わりの激しいオーディオ界の中で不動の地位を維持することはむずかしい事ですがPMA-700が誕生して4年を迎えようとしていますが今だに多くのファンに愛用され、心ゆくまで音楽を楽しませています。この4年間アンプ系の技術進歩は新増幅素子の開発や新回路技術の採用、あるいは新測定器の飛躍的な進歩によってアンプ系の物理特性が大幅に向上してきた事は周知の通りです。しかし、音質面にこの物理特性の向上がどの程度寄与してきたかとなると明確に立証する事はむずかしい・・・・・・・。700および700Zが今日でも音楽を楽しく聴かせてくれるこれ以上のアンプはないと確信しておりますが、この度、MCヘッドアンプやその他の回路を見直し、現代アンプとして衣替えする事に成功しました。従来の700・700Zの音に加え、よりワイドレンジで音の透明感が向上しております。


■高S/N、低歪率、高精度イコライザーアンプ

ディスクレコードの最大録音レベルや、カートリッジの出力電圧を考え、イコライザーアンプの1KHz許容入力を100mVrmsと抑え、イコライザー利得は40dBとハイゲインとし、しかもノイズレベルの低減を計りPHONOのS/Nは73dB以上を実現し、入力換算雑音レベル-123dBVを確保しております。また全高調波ひずみ率も1V時0.03%以下と優れ、イコライザーアンプの使命RIAA特性は厳選された精度の高い部品の使用と3段直結E-E帰還の素直なフィードバックによりRIAA偏差±0.2dB以内(20Hz〜20KHz)と高精度を得ています。

■高S/N MCヘッドアンプ内蔵

公称出力0.1mV〜0.5mV程度のMCカートリッジをスイッチ1つで使用できる本格的な高S/Nヘッドアンプを内蔵しております。
回路構成は低雑音トランジスターを8石用いたA級プッシュプル構成となっております。従来のPMA-700ZのヘッドアンプよりS/Nが約10dB改善し、70dB以上を実現しました。

■接続特性重視回路

REC、OUT(録音用出力)にエミッタフォロワー回路のバッファアンプを採用しておりますのでテープデッキ接続による音質劣化のない高級機にふさわしい本格的な配慮がなされています。

完全ディフィート方式により“ダイレクトカップル”が可能なユニークな中間コントロールアンプ

●トーンコントロール、フィルター、ブースターアンプ回路を完全にディフィートし、イコライザーアンプの出力を不可欠なバッファアンプを通るのみで10Hz〜150KHzの範囲をフラットな周波数特性で全く色づけのない再生信号を直接パワーアンプに送り込むことができる“ダイレクトカップル方式”となっています。勿論、トーンコントロール、フィルター、ブースターアンプは必要に応じメインラインに投入して使用できるようになっています。

●トーンコントロール回路は初段エミッターフォロワ、2段目にローノイズFET、3段目コレクター接地の構成となっています。BASS、TREBLE調節は11接点ロータリースイッチ採用で正確な2dBステップとなっています。尚3段目出力から2段目へ帰還する新考案のトーンコントロールN・F回路を採用しています。

●フィルター回路は18dB/octのバターワース形を採用し切れの良いフィルター効果を発揮します。

●ユニークなGAINスイッチとミューティングスイッチにより、独自なレベル設定となっています。GAINスイッチは+10dB、0dB、−10dBの3ポジションがあり、+10dBのとき利得10dBのブースターアンプが入り、これが従来のアンプのレベル設定になります。平均的な出力のカートリッジは0dB、出力の高いカートリッジは−10dBで使用すると便利です。尚ミューティングスイッチはGAIN、0dBのときを基準に20dB抑えることができます。

■全段フル・コンプリメンタリープッシュプル方式DCパワーアンプ採用

パワーアンプ部は低音域の応答性、位相特性を改善する目的でDCアンプを採用し、初段に高利得のPNP、NPNのバイポーラ・トランジスターをA級プッシュプル接続させることにより、温度変化や電源変動に対し安定度を向上させた上で、充分なNFB(約62dB)を掛けてひずみを0.01%以下に抑え、スピーカー端子の直流電圧変動も0.5mV/℃以下と充分な値となっています。更にパワー部入力から出力段に至る全ての回路をプッシュプル構成とした全段フル・コンプリメンタリープッシュプル方式を採用し、PNPとNPNのトランジスターの組合せでそれぞれのひずみを打消し、広いダイナミックレンジが得られリニアリティ領域がより拡大し、音質に最も影響のある混変調ひずみ“0.01%以下”を実現しております。

信頼性の向上

高耐圧の増幅素子を厳選して使用し、設計に余裕を持たせ、更にスイッチ、コネクター、プロテクション関係を充分検討し信頼性を向上させています。


■主要規格

【パワーアンプ部】

  • 回路方式
    • 全段ピュアコンプリメンタリー、プッシュプル方式DC回路
  • ダイナミック出力
    • 300W(150W+150W)(負荷4ΩIHF規格)
    • 200W(100W+100W)(負荷8ΩIHF規格)
  • 定格出力
    • 20Hz〜20KHz 85W+85W(負荷4Ω T.H.D. 0.05%)
  • 両チャンネル駆動
    • 20Hz〜20KHz 70W+70W(負荷8Ω T.H.D. 0.02%)
  • 全調波ひずみ率
    • 0.02%以下
  • 混変調ひずみ率
    • 0.05%以下(定格出力相当振幅出力時)
    • 60Hz/7KHz=%  0.05%以下(定格出力相当振幅出力時)
    • 0.01%以下(正弦波1W相当振幅出力時)
  • 出力帯域幅
    • 5Hz〜50KHz
  • 伝送特性
    • DC〜100KHz(0.5W出力時)
  • 入力感度
    • 1V
  • 入力インピーダンス
    • 50KΩ
  • 出力インピーダンス
    • 0.16Ω以下
  • S/N
    • 115dB
  • 出力端子
    • スピーカー
      • A&B(負荷4〜16Ω)
      • A+B(負荷8〜16Ω)
    • ヘッドフォン
      • ステレオヘッドホン適合

【プリアンプ部】

  • プリアンプ出力
    • 最大出力 10V(負荷50KΩ時)
    • 定格出力 1V
  • 全調波ひずみ率
    • 0.03%(出力1V時)
  • イコライザーアンプ出力
    • 最大出力 10V(負荷50KΩ時)
    • 定格出力 320mV
  • 入力感度/入力インピーダンス
    • PHONO(MM) 3.2mV/50KΩ
    • PHONO(MC) 0.4mV/290Ω
    • TUNER 320mV/90KΩ
    • AUX,TAPE 320mV/90KΩ
  • 最大許容入力
    • PHONO(MM) 100mV(1KHz)
    • PHONO(MC) 10mV
  • RIAA偏差
    • ±0.2dB(20Hz〜20KHz)
  • SN(IHF Aネットワーク)
    • PHONO(MM)73dB以上(入力端子短絡時)
    • PHONO(MC)70dB以上(入力端40Ω時)
    • TUNER,TAPE,AUX 100dB以上(入力端子短絡時)
  • トーンコントロール部周波数特性
    • TONE DEFEAT時 10Hz〜150KHz ±0.5dB
    • TONE FLAT時 20Hz〜20KHz ±0.5dB
  • トーシコントロール折曲点可変範囲
    • BASS 320Hz,640Hz,100Hz,50Hz ±10dB
    • TREBLE 1.6KHz,3.2KHz,10KHz,20KHz±10dB
  • フィルター特性
    • LOW Cut 15Hz18dB/oct
    • HIGH Cut 9KHz18dB/oct
  • ラウドネスコントロール
    • 低域 100Hz +6.5dB
    • 高域 10KHz +6dB
  • ミューティング
    • -20dB(GAIN調整 0dB基準時)

【総合】

  • 電源コンセント
    • SWITCHED 2個 250W
    • UN SWITCHED 1個 150W
  • 電源
    • AC100V 50/60Hz
  • 消費電力
    • 195W(電気用品取締法による)
  • 寸法
    • W430×H140×D350(mm)(合ゴム足、ツマミ、端子)
  • 重量
    • 12.5kg

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